「宇宙は、自分たちの創造物が、あらたな経験、あらたな環境、あらたな場所、あらたなひと、あらたな考えにふれることで、進化し、成長していってほしいと考えている。
ところがそれをはばむのが、きみたちじしんの執着なんだ。
きみたちはあまりにもいろいろなものにしがみつきすぎている。
自分たちの場所、自分たちの愛するひと、自分たちの物、自分たちのすがた、自分たちの考え、思い出・・・・・・・すべてを手ばなしたがらない。
きみたちが、そういったもろもろの執着から自由になって、別の状態へ、別の幸福へととおりぬけるためのたったひとつの道は、いま、その身にまとっている‘服__つまり肉体のことだね__”を脱ぎ捨てることだ。
肉体がほろび、死をむかえたときにようやく、きみたちは執着からのがれて、あらたな状態に入ることができるんだ。
でも、そのかわりにきみたちは、かっての人生でのことをなにひとつ__ どんなに愛着のあるものでも___おぼえてはいない。
ほんとうは、1人ひとりの心の奥の奥に、記憶はひっそりとねむっているんだけど・・・」
「わたしたちが死ぬのは、そのためなの?」とビンカがたずねた。
「そう、残念ながら、いまのきみたちがあらたな状態にうつるためには。‘死”を利用するしか道はないんだ。
でも、、もしもきみたちが、もっと進化した段階のひとたちのようにもう少し執着からはなれることができれば、‘死”という、痛ましくて苦しいプロセスはいらなくなる。
進んだ魂(たましい)たちは、もはや‘死”を通過しなくとも、自分の意思だけでかんたんに、宇宙が用意してくれた新しい状態の中へとびこんでいけるんだよ。
しかも前の人生でのことを忘れたりしないでね。
ぼくの中にも、自分が半分ゴリラだったころからいまにいたるまで、記憶はぜんぶのこっているよ」
アミのはっきりとわかりやすい説明を聞いて、みんな考えこんでしまった。
ぼくはいままで、何度となく神の善良さをうたがってきた。
どうして神が、‘死”のような痛ましいものを創りだしたのかが、わからなかったんだ。
でも、アミの説明のおかげで‘死”が、愛の神が創りだしたものだという考えは、矛盾するものじゃなくなった。
だって、愛がぼくたちの進化や完成を求めつづけるのはとうぜんのことだ。
ぼくたちが自力で自分たちの執着を克服できないのだとしたら、新しい状態にうつるためには、むりやりにでもいまのところからひきはなしてもらうしかない。
それしか道は残ってないんだから。
「まったくアミの言うとおりだ。
いつかわしがあの土地を捨てなきゃならんとしたら__ どうしてもそうしなきゃならんのだとしたら__ いまがそのときなんだよ。」
(省略)
アミはさらに円盤の速度をあげて、その惑星(ほし)のあちらこちらをめぐりはじめた。
ひとまわりするのに、1分とかからなかったから、すぐにわかった。
この惑星(ほし)には海がないんだ・・・・・・・。
「ここは生命のいない、かわいた惑星(ほし)なんだね・・・・・・。」
アミは上きげんだった。
「うん、表面には石ころしかない。でも、内部には・・・・・・・」
「この世界の文明は地下の中にあるなんて言わないだろうね・・・・・・・」
「まさしくそうなんだ、ペドゥリート。この惑星(ほし)のひとたちみたいな、高い進化水準に達した人類はみんな、文明基盤(きばん)を地下に移しているんだ」
ビンカはすっかり興味をひかれたようだ。
「ということは、アミ。高いところまで進化した人類はもう、惑星(ほし)の表面には住まなくなるの?」
「もちろんさ。だって惑星内部のほうがずっと安全だもの」
「どうして?・・・・・・」
「まず、惑星内部には、太陽の紫外線や放射線みたいな有害物質がとどかないし、隕石(いんせき)がぶつかったって、なんの影響もない。
天候についていえば、そこに住むひとたちが自由に調節するから、かみなりともひょうとも大竜巻(おおたつまき)とも無縁だ。
それからこの惑星(ほし)の表面には一滴の水もないけど、内部では人工的に水と酸素と光を供給して、この惑星(ほし)にふさわしい生態系をつくりあげている。
害虫やその生態系を乱すような種(しゅ)は、あらかじめ取りのぞくこともできるんだよ。
そして、これがかんじんなんだけど、近くの惑星(ほし)に住む未開文明人に、おかしな関心をもたれることもない!
カラカラにかわききった死の惑星(ほし)に見せかけておいて、そのじつ、内部には大文明がさかえてるってわけだ・・・・・・・宇宙でいちばん高いレベルまで進化した人類が、こうした惑星内部に住むようになるってことは、理解できたかな」
「うわーっ! そうだったんだ! そんなこと、いちども考えたことなかったよ・・・・・・・そうか、わかったよ。
ぼくたちの太陽系では、地球以外の惑星(ほし)に生命の気配(けはい)がないわけだが、それでなっとくいったよ」
「わたしたちの太陽系でも、きっとそうなんだわ」
ビンカもなっとくのようすだ。
「そのとおり。
宇宙には、きみたちが想像するよりもはるかにたくさんの生命がいるんだよ。
でもねえ、きみたちの文明は、とても精神的だから、いまはまだ、あんまり上の段階のことは知らないほうがいい。」
「うん、わかったよ・・・・・・」
「それに惑星内部に住むということが、そのひとたちの魂のありかたをも反映しているんだよ」
「それ、どういうこと?」
「きみたちの世界の人々は惑星(ほし)の表面に住んでいるだろう?」
「もちろん」
「きみたちの文明では、すべてが、表面の問題なんだ・・・・・・つまり、きみたちが注意をはらうのは外部だけ、内部のことはさっぱりだ。
だからこそ、きみたちは惑星(ほし)の表面に住んでいるんだよ。
それはきみたちの魂のありかたを反映しているんだ」
「もう少しわかりやすく説明してくれる?」
「外部にあるものにむけるきみたちの興味は、まさにつきせぬ泉のごとし、だ。
もっと外へもっと外へ・・・・・・・許されるなら、地球から数兆キロも遠くはなれた別の太陽系にさえ、ロケットを飛ばそうとする。
そのための努力はおしまない。
ところが、自分の惑星(ほし)の内部のこととなると、足のすぐ下のことなのに、これがまるでわかっていない。
そもそも興味さえ持ってないんだ」
「ああ、たしかにそうだよね。NASA(アメリカ航空宇宙局)だって、地球の外に出ていくばっかりで、ぼくたちの地球の内部をさぐろうとしないし・・・・・・・。
そっちのほうが身近なのになあ」
「きみたちが、どんなものであれ、その外部にしか目をむけていないからだよ。
他人(ひと)についても、自分についてさえこの調子なんだ。
気にするのは表面的なことばっかり。
内部のことはまるっきり無視しているんだ」
「うーん、じっくり考えてみたほうがよさそうだね。
でもぼく、なんだかわかりかけてきたような気がするよ・・・・・・・」
「そうやって、外部ばかりに関心をむけてるから、いつまでたってもほんとうの自分を知らないままなんだ。
だって、自分の心の中をまともに見ようとしないんだものね。
きみたちが惑星(ほし)の表面に住んでいるっていうのは、つまりはそういうことなんだよ。
内部__ 精神的なもの、内的なもの、デリケートなことがら__ よりも、外部__はっきりと目に見えるもの、かたちあるもの__
がだいじにされる世界に住んでいるってことなんだ。
だから、ほんとうはいつだって、1人ひとりの中に原因があるはずなのに、すぐに問題を他人(ひと)のせいにしようとする」
(省略)
「大きな進歩っていうのは、はじめはいつも、受け入れにくいものなんだよ。
でも、時間がたてば、人々のほうがそれなしでは生きていけなくなる。
たとえば、むかしは鳥の羽のペンにインクをつけて文字を書いた。
いまは、パソコンのキーで文字を打つ。
羽のペンのほうがロマンチックなんだけど、もはやだれも見むきもしない。
おなじように、荷馬車やのろしなんかも、いまではお目にかからなくなったよね。」
(省略)
「ここはわたしの世界なんだ」とシャンバラのひとは説明をはじめた。」
「わたしはここで生まれた、何代もの私の先祖たちとおなじように。
そしてきみたちがすでに目にしたわたしに似たあの者たちも、みんな地球人なんだよ・・・・・」
エッ! あのひとたちが地球人だって!?
だってあんなに進化してるのに!?・・・・・しかもぼくたちの地球に、何代もわたって生きつづけてきてるなんて!・・・・・たしかにアミの言うとおりだった。
「でも、ここにきている兄弟たち全員が、ここで生まれたわけではない。
ここには一時的に滞在している者もいる。
彼らは、わたしたちが大むかしにあとにした、遠い世界からきているんだ」
‘きみたちのような世界に住んでいるひとたちの中で、砂漠とかひとを寄せつけないさびしいところへ、自分たちの家族をひきつれて移り住んでいくひとたちがいる。
彼らはまず、その地に水を引き、穀物の種を蒔き、動物を飼育し、子どもを増やしていく。
そして、労力と時間をかけて、住めるような場所をつくりあげていく。
もっとあとになってから、その近くに別の家族が住みはじめる。
だんだん人が増えてきて、村ができ、町が、そして都市ができる。
以前にはまったくなにもなかったところに、たくさんのひとが住める都市をつくりあげた。
彼らは開拓者たちだよ。
そうして、国家ができあがってくるにつれて、政府は、たいていひとのまったく住んでいない地区の開拓を進めるために、資金を出して開拓者を援助したりするものだ。
国は大きくなればなるほど、もっともっと大きくなろうとするものだからね。
これは人生に、人間の心に内在している傾向だよ、より大きく、よりひろがるように、より多く手に入るように、より完璧に、より住みやすくなるように。
それから、自分たちの子孫にとってはもちろんのこと、それ以外の人々にとってもますます住みやすくなるような可能性を残してあげるために。
文明世界の宇宙親交は、もっとも高い階級レベル(水準)の意志にしたがって、すべては神聖なる計画のもとに、数百年もの昔から、たくさんの惑星惑星(ほしぼし)に生命(せいめい)の種(たね)をまいてきたんだよ”
これまでアミは、宇宙親交が銀河系に生命を誕生させる任務を負っていることなんてこと、いちども口にしたことがなかった。
だから、生命はひとりでに生まれてくるものだと思っていた。
宇宙親交は、様々な種(しゅ)の知的な人類からなりたっている文明なんだよ。
その中には、ずっと古い昔からわれわれと同化している種(しゅ)もあれば、同化してまだ歴史の浅い種(しゅ)もある。
すべての文明が、進化したとみとめられるための条件を満たして、一定の基準まで達したときには、われわれのメンバーとしてむかえられるんだよ”
この条件については、宇宙親交の仲間入りをするには、国境をなくし、すべての国家や民族がひとつにまとまる段階に達しなければならない。
つまり、その惑星(ほし)全体が、まとめられたひとつの愛の国に変わらなければならない。
でも、ここではっきりとさせておきたいことがある。
それは惑星(ほし)の独裁政府というのもひとつの世界政府といえるけれど、宇宙親交の望んでいる世界政府とはまるで別なものだっていうことだ。
本当の世界政府は、宇宙の基本法__つまり、普遍的な愛__にぴったりと適合(てきごう)していなければならない。
そして、それがもし実現できれば、もう不正も苦悩もなくなるから、そのときはじめて、その文明は宇宙親交のメンバーとして受け入れられるということを、アミははっきり言っていた。
‘そうして受け入れられた文明は、宇宙親交の援助を受けながら進歩、発展していき、ある水準に達したときには、任務を与えられるようになる。
こんどは自分たちが、まだ知的生命のいない世界の生命を改良し、援助していくんだよ”
‘任務にあたって銀河当局は、そこではたらく種(しゅ)にふさわしい重力をもつ、若い惑星(ほし)を割り当てる。
彼らは基地をつくり、それから数千年、数万年もそこに住むことになるんだ。
きみたちは、われわれと違った時間の観念をもっている。
数百年まえ、わたしの民族はこの世界にやってきた。
最初に軌道(に乗った)基地をつくり、そして地底都市をつくった。
そしてここにうつり住み、そこからはっきりとした目的のもとに、生態系を改良する仕事に取りかかったんだ。
もうすでに生存していた種(しゅ)に変化をあたえたり、新しい種(しゅ)をわれわれの遺伝子研究所で創造したり、別の世界からつれてきた種(しゅ)を地球の環境に適応させるようにしたり、それから気候や海にかかわるものにも手を入れたりした。
われわれの民族はもともと宇宙からきたけれども、わたしをはじめ、ここにいる大部分のひとたちは、この惑星(ほし)に何世代にもわたって長く住みつづけている家系に属している。
だからちょうど、みずから切り開き、たがやし、暮らしている農場を農民が愛するように、この地球をとても愛しているんだよ。
なにより、この美しい世界は、われわれの先祖やその子孫、つまりわれわれ自身が住んでいるところだ。
だからわれわれは、自分たちを地球人であると心から思っているんだ。
われわれのほうが、きみたちよりもずっと長く、この地球に住んでいるんだからね”
(省略)
‘そうやって、サルの進化を手助けしたんだよ。
なぜなら、人類の祖先となるのはサルなんだからね。
現在の人類は、交配によって創りだされたんだよ。
われわれの研究所で、地球のサルの遺伝子と、よその惑星(ほし)からやってきたわれわれの遺伝子とをかけあわせて”
‘そして新しく誕生した人類がちゃんと生きのびていけるように、ウマだとかラクダだとか、ゾウだとか、ニワトリやイヌといった、あとあと人類の役に立つような動物たちを創ったり改良したり、、米や麦やトウモロコシや、いろいろなくだものを創ったりしたんだよ”
‘現在の人間は天(てん)と地(ち)の子であるんだよ。
だから、ときには人間以下のようになり、ときには超人間的になる。
動物的な本性(ほんしょう)と星の本性とが共存しているんだ”
それを聞いてぼくは、多くの疑問が解(と)けた。
‘地球の人間を創造した目的は、新しい種(しゅ)の人間を創り、のちに、その人間が宇宙親交に入れる水準まで進化したときに、それに協力できるようにしてもらうためだ。
きみたちが考えるように(宇宙大戦争)に協力してもらうためではなく、数えきれない文明化のための仕事や銀河系生命の改良に協力してもらうためなんだよ。
ひとたび同化してしまえば、宇宙親交から科学的、技術的、精神的な援助が受けられる。
するともう、苦悩や不安や死を永遠に過去のものとすることができるんだよ”
こうして、まるで目からウロコが落ちるように、すべてが理解できた。
アミがやってきたこと、ぼくが本を書いたこと、‘救済計画”宗教の本当の意味、そのほかのすべてのことがわかった。
シャンバラに住むシルクは、
ぼくたち1人ひとりには、ぼくたちの種(しゅ)の進化のために割り当てられた責任があり、そのために、1人ひとりが自分の劣った部分を乗りこえることが、どうしても必要になってくると言った。
それはあくまで個人的な仕事で、個人が内的成長をとげるために努力することによってのみ、人類全体が進化していけるのだということを、特に強調していた。
それからぼくたちがいま、進歩発展のとても特殊な状態にあるということも。
つまりそれは、人類のはじまりの時点から現在までずっとつづいていることだけど、ぼくたちの動物的本性が、星の本性の高い精神レベルより上に立ったままでいる限り、ぼくたちの文明のまひは、もう疑う余地もなく目の前にせまっているって。
なぜなら、ぼくたちのいまの世界は、国どうしがこれまでになく依存し合った関係にあって、大災難を引き起こすのにじゅうぶんなレベルにまで、つまり惑星(ほし)の生命をおびやかすほどに、テクノロジーが発達しているからだと言っていた。
それから、自分たちを知的とみなしている種(しゅ)は、次のようにすべきだであるということ。
すでに手にしているテクノロジーは、ぼくたちの惑星(ほし)や文明を守り、よりよくしていくために使うようにする。
そうすればすぐにでも、あらたな、すべての人々にとって平和な世界をつくりあげることができるのだそうだ。
アミがいちばんさいしょの旅のときに言っていたこととおなじことをつけくわえた。
つまり、ぼうだいな数の人命(じんめい)がうばわれる、その大災害がもし起きたばあい、彼らは新しい人類としてスタートできる進化水準に達したひとたちを救出し、保護することを引き受けるということ。
そして、できればその大災難は起こらないほうがいいし、そのためには意識に目覚めたひとたちみんなが、自分自身で努力するのはもちろんだけれど、周囲のひとたちにも光をひろげるようにしなければならない、とも言っていた。
それから彼は、ぼくたちに、自分が人類の進歩に奉仕していると信じこんでいる、少なからぬひとたちのように、‘黙示録(もくしろく)の預言者”や‘死の使者”にならないようにと、とくに注意を強調していた。
じっさい、彼らがやっていることは、不安や恐怖や絶望の種をまくことであり、人々の恐怖心を無意味にあおる‘メッセージ”をひろめることであり、それは人類の頭脳をさらに低下させるだけのものだから、救世の望みは、ますます小さくなっていくことになる。
ぼくはとてもこわくなった。
そして、シルク自身、言っていることのつじつまが合っていないような気がした。
だってその言葉じたい、彼が‘死の使者”であることをしめしているように思われたからだ。
でも、シルクが言いたかったのは、ぼくたちにはもう、ムダにしている時間はないのであって、これまでは、内面的にも外面的にも事態を真剣に変える努力をしないまま、なんとかやってこられたけれど、これから先は1人ひとりが‘愛の使者”へと変身するべきであり、それを自分の人生に反映していかなくてはならないということだった。
「きみたちは、現在のあやまちも過去のあやまちも、毎日少しずつ乗りこえていかなくてはならない。
それは原点に立ち返ってはじめることによってのみ、できることなんだ。
つまり、きみたちの人生のいちばんたいせつな目的をはっきりとさせることであり、その目的とは、愛の成長に奉仕することにほかならない。
愛の成長に奉仕しているということは、いつも頭の中にはっきりとやきつけ、心の中に生きつづける感動として、けっして忘れることがあってはならない。
そうして、はじめはきみたち自身の内面から、そのあとできみたちの行いを適応させていき、やがてきみたちが時間のすべてを使って、愛の成長に奉仕できるようになるまで・・・・・よりよい人間に変わっていけるまで、きみたちはこのいちばんたいせつな目的にそって努力していかなければならない。
でも、くりかえすようだけれど、その仕事は少しずつ行われるべきものであって、まずは欠点のひとつからはじめて、だんだんと別の欠点へとうつっていくようなやり方をしなくてはならないんだ。」
それから、シャンバラのシルクは、
人々が苦悩することも、大量の死者を出すこともなく、ぼくたちの惑星(ほし)がよい方向に変化していく可能性は残っていると言った。
でも、これはいつもしっかりと自覚しておかなければいけないけれど、
‘もう、時間がない”。
つまり、もうぼくたちは時間をムダにできないということだ。
それから、よろこび、健康なユーモア、楽天主義、希望、責任、悪意のない魂、信念、許し、隣人への助け、本物の愛などが、ますます必要不可欠なものになっていき、それが人類にとって、そして1人ひとりにとって、高い水準の存在へ移るのに必要なエネルギーになると言っていた。
反対に、どんなものであれ、恐怖、絶望、堕落(だらく)などの種(たね)を蒔(ま)く者からは、距離を置くことが必要だとつけ加えた。
そして、自分たちの性格上の劣った部分にたいして、もう少し自分自身に厳格になるべきであり、友達や指導者を選ぶときにも、もっときびしく判断すべきだということだ。
最後にシャンバラのシルクは、
次にあげる欠点は、どんな犠牲をはらってでも自分の中から追放するべきで、もしそれらの欠点が大きければ、新しい世界の一員になることはできないと言っていた。
それは羨望(せんぼう=ねたみ)、エゴイズム(利己主義)、暴力、物質主義、ひとの不幸を望むこと、(知的、感情的、物質的、性的なことに対する)無責任、恩知らず、不機嫌(ふきげん)、それからぼくたちのすべての宗教が、その掟(おきて)の中で戒めていること。
ぼくはねたみと利己主義が最初にあげられていたことに、とても興味をひかれた。
だって、ぼくたちにとって、それはとても日常茶飯事なことだったからだ。
「新しい世界の土台をかためるときには、いまシルクが言っていたような悪い種(たね)をまくことは許されない。
だって、そんなものは、人類家族の分裂を引き起こすばかりだからね。
必要なのは、それとは反対のものなんだから」
とアミが説明してくれた。
(省略)
からだの大きさと進化水準とはまったく関係がないんだ。
(※住んでいる環境状態に合わせているだけなんだ)
「きみたちが、高い水準に移っていけない理由はただひとつ。
さまざまな分野において、きみたちのものの見方がまだ変化できてないからだよ。
きみたちの文明をみちびいている物質主義的な観点や外面重視の視点から、もっと人間の内面を完成するというテーマにむけてピントを合わせていく必要があるんだ」
ぼくは心からなっとくできた。
「でも、どうしてまだその変化が起こらないのですか?」
「それは、考えるのは自分たちのことばかり、みんなの豊かさについてはまるでかえりみようとしないわずかなひとたちが、世界を動かす舵(かじ)をにぎっているからなんだよ。
それに、そのひとたちがにぎっている権力はとても大きいから、自分たちにとってつごうがいいと‘考えている”状況にむけて、かってな思惑(おもわく)だけで人類全体をひきずりまわしているせいなんだよ」
「そのうち、ブーメランにやられるわ」とビンカは怒って言った。
「でも、惑星(ほし)じしんの必要性と、人々の意識の高まりによって、すぐにいまの状況は変わりはじめるよ。
そのときこそ、きみたちの協力がなくてはならないものになるんだ。
ひとつの状況から別の状況へとうつり変わっていくときには、変化をはばもうとする力がはたらいて、大きな災いが引き起こされたりする。
そうした災いとは無縁に、できる限りスムーズに前進をはたすのが望ましいけれど、それができるのは、全体の意識の高まりだけなんだ。
そして、その意識の高まりを生んだものこそ、愛であり、愛にみちびかれた知性なんだよ。
だからこそ、地球の愛の成長を助けることが、何をおいてもたいせつなんだ」
(省略)
ぼくたちの世界がおもっていたほどひどいわけじゃないということや、大きな変化の時期が訪れるのは、そんなに先でもないということがわかったのは、大きな収穫だった。
「でも、その変化がおそろしいものじゃなくて、なにかしら美しいものであってほしいなら、自己を高めるための努力をしなくっちゃ」
とアミはぼくたちに言った。
「アミ 小さな宇宙人」シリーズの第3巻「アミ 3度めの約束 愛はすべてをこえて」エンリケ・バリオス著より抜粋。
※これはファンタジーでもあるのですが、読む人により真実でもあるようです。ご参考までに。
